「鳴かぬなら」で性格がわかる? 信長・秀吉・家康といろいろなホトトギス

こんにちは、案内役のこはくです。

「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」

この句を聞けば、織田信長を思い浮かべますね。

そして豊臣秀吉なら、「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」。徳川家康なら、「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス」。三人の性格の違いを表した言葉として、あまりにも有名です。

同じ「鳴かないホトトギス」を前にしても、「殺す」「鳴かせる」「待つ」。こうして並べてみると、三人の武将の性格が見事に違って見えます。でも、ちょっと待ってください。

後世の人がホトトギスを使って戦国の有名な3武将の性格を比較したようです。

信長は「殺してしまえ」

鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス

織田信長を表すとされるのが、この句です。鳴かないのであれば、いっそのこと殺してしまう。ずいぶん物騒な句ですが、「信長らしさ」は、非常にわかりやすく表されています。

信長といえば、従来のやり方にこだわらず、必要がないと判断すれば古い仕組みを壊してでも前へ進む人物として描かれることがあります。比叡山焼き討ちなどの苛烈な行動も、「鳴かなければ殺す」というイメージと結びついたのでしょう。

ただし、これはあくまで後世の人が信長に当てはめた人物像。実際の信長が、何でも気に入らなければすぐ排除するような人物だった、という意味ではありません。

でも『殺してしまえ』って言われると、いかにも信長さんらしく感じてしまいました。

秀吉は「鳴かせてみせよう」

鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス

豊臣秀吉の場合は、ホトトギスを殺しません。かといって、鳴くまでじっと待つわけでもありません。「鳴かないのなら、自分の力で鳴かせてみせる」。知恵や工夫によって目的を達成しようとする人物像が表れています。

低い身分から信長に仕え、やがて天下人にまで上り詰めた秀吉。人の心をつかみ、交渉し、ときには大胆な策を使って難局を切り抜けていった秀吉のイメージには、「鳴かせてみせよう」がよく似合いますね。

家康は「鳴くまで待とう」

鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス

そして徳川家康。鳴かないホトトギスを殺すことも、無理に鳴かせることもしません。「鳴くまで待とう」。

家康といえば、長い年月を耐え忍び、最後に天下を手にした人物というイメージ。幼少期には人質生活を経験し、織田信長、豊臣秀吉という二人の天下人の時代を生き抜き、関ヶ原の戦いを経て江戸幕府を開きました。その人生を考えると、「待つ」という言葉が家康に当てはめられたのも納得できます。

ところで、この句を作ったのは誰?

信長さんなら殺す。秀吉さんなら何とかして鳴かせる。家康さんなら待つ。同じホトトギスなのに全然違いますが誰もが3武将のイメージを表しています。

ところが、この三句を信長・秀吉・家康本人が詠んだとは確認できません。三人が亡くなってから、ずっと後の江戸時代の文献に登場します。

江戸時代後期の随筆『甲子夜話(かっしやわ)』です。三人のホトトギスの句を紹介する前に、「人の仮托に出る者ならん」つまり、誰かが三人の人物像に当てはめて作ったものだろう、という趣旨で示されています。

さらに、『甲子夜話』より古い随筆『耳嚢(みみぶくろ)』にも、よく似た三句が登場します。現在確認されている文献では、こちらのほうが古い記録とされています。いずれも、本人が詠んだことを証明する史料ではありません。

なぜホトトギスだったの?

ホトトギスは昔から、鳴き声を待ち望まれた鳥でした。「鳴いてほしいのに鳴いてくれない」という状況を作り、自分の思い通りにならない相手を前にしたときにどうするかを三人に当てはめる。そうすることで、それぞれの人物像を短い言葉で表現できるわけです。

「鳴かぬなら」は三英傑だけではない

ここまで、三英傑のイメージを見事に比較した句ですが、別の人物のものはないのか興味が湧きますね。

ありました。明智光秀に結びつけられた句です。

「鳴かざれば 放してやろう ホトトギス」

いまいち、明智光秀のイメージではないかも。句からは「自分の思い通りにならないからといって殺す必要はない」という理性的で穏健な人物のイメージを受けますが、史実上、本能寺の変で織田信長を討った行動からすると、織田信長の句のようなものが似合うような気がします。

この句は、出典がはっきりせず本人が詠んだものか、後世の人が詠んだものかもわからないのですが、明智光秀に結びつけて紹介されることがあります。

そもそも、明智光秀と結び付けてよいものかどうかから考えるのがよさそうです。

あと、おまけとしてもう一つ。

「鳴かぬなら それもまたよし ホトトギス」というのもあるようです。

誰のイメージでしょう。

答えは、パナソニックの創業者・松下幸之助です。

「鳴かないなら、それでもいい」。三英傑の句と比べると、鳴かないホトトギスをそのまま受け入れる発想が見えてきます。思い通りにならなくてもそのまま受け入れる。なんともおおらかな考え、成功者の言葉はなんとも納得させる力があります。松下幸之助は、三英傑のうちどれに当たるかと聞かれ、『それもまたよし』と答えたと伝えられています。

あなたなら、鳴かないホトトギスをどうする?

信長は「殺す」、秀吉は「鳴かせる」、家康は「待つ」。

歴史上の人物をホトトギスで例えるって面白い人もいるんですね。

もちろん、これだけで実在した人物の性格を決めつけることはできません。句の出典の確かさも、それぞれ違います。それでも、同じ「鳴かない」という状況にどんな答えを考えるか、比べてみるとおもしろいですね。

こはくなら「鳴かぬなら……私はおやつをあげて仲良くなる」かな

それなら「鳴かせてみせよう」の秀吉タイプですね。

参考資料

国立国会図書館 レファレンス協同データベース「信長、秀吉、家康が詠んだというほととぎすの句の出典を確認したい」

同「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」の句の出典は何か

松下政経塾「鳴かないホトトギスに鳴きかけること」

お辞儀をして挨拶する白狐のこはく

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